こんにちは。
呼吸器専門医の入谷です。
1日に70名以上の咳患者さんを診ていますと、
「ぜん息と咳ぜん息の違いは何ですか?」と聞かれます。
なので今回はここをお話したいと思います。
一般的に「ぜんそく」と言えば、「気管支ぜん息」のことを指し、
咳が出る、ゼーゼーする、息苦しい状態を言います。
聴診器を使用しなくても、胸に耳を近づけるとヒューヒュー・ゼイゼイが聞こえる場合もあります。
そこに息苦しさや痰やせき症状が伴なえば、「ぜん息」であることが容易に診断できます。
一方で「咳ぜんそく」は、ぜんそくの一歩手前と考えられている病気です。
この2つは全く別の病気というわけではなく、咳ぜんそくもぜんそくの一種です。
症状が咳だけにとどまっているものの、ぜんそくとあまり変わらない状態です。
咳ぜんそくを治療せず放置していると、約3~4割がぜんそくへ進行すると報告されています。
咳ぜんそくの診断の際は、気管支拡張薬(β2刺激薬またはテオフィリン製剤)の効果を見るのが基本となっていますが、気管支拡張薬の効果が見られるのはぜんそくも同じです。
そのため、この2つの判別は喘鳴や他の症状も聞きながら診断を進めていきます。
喘息が疑われる場合には、詳しい検査も合わせながら診断します。
「咳ぜんそく」と「ぜんそく」は別の病気ではなく、
ともに長期的にコンとロールしていくことが重要です。
咳ぜんそくがあればぜんそくの傾向を持っているということですので、
軽度のぜんそくと同じような治療や対処が必要になります。
専門医で正しい診断と治療を行ってください。