「パンケーキ症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
パンケーキを食べたら、アナフィラキシーショックになってしまったという俗語です。
医学的には「経口ダニアナフィラキシー」を指します。
これらはパンケーキだけではなく、お好み焼きやたこ焼きなど摂取した後に全身性アレルギー症状を来します。
その実情は、原料に含まれる小麦などの食物に対するアレルギーではなく、その食品に混入しているダニ由来のアレルゲンタンパク質の経口摂取によりアレルギー症状をきたしています。
この病態は経口ダニアナフィラキシー(Oral mite anaphylaxis)、もしくはパンケーキ症候群(Pancake syndrome)と呼ばれています。
家庭用の小麦粉、お好み焼き粉、ケーキミックス粉などを開封後、常温で数カ月間放置し粉中でダニが繁殖した場合、これを経口摂取した際にダニへのアレルギーによりアナフィラキシーを来すことがあります。
この病態は、わが国ではお好み焼き粉で起こることが多いと言われています。
ダニの繁殖に少なくとも数週間は要するため、原材料を仕入れてからすぐに使用するような外食産業で当該疾患が問題になることは少ないと言われます。
ほとんどの場合、自宅で古いお好み焼き粉等を使って調理して摂取した場合にこの病態が問題となっています。
該当患者さんに対しては、小麦粉・お好み焼き粉等は開封後、なるべく早めに使い切るように指導します。
自宅でこれらを保存する場合は、ダニが繁殖することのない冷蔵庫内で保存するように指導しています。
食物アレルギーではないので、小麦等の摂取自体を制限する必要はないのでご安心ください。
当院では「ダニ舌下免疫療法」を行っています。
適応は通年性アレルギー性鼻炎であり、このような食物アレルギーや喘息には保険適応がないため、注意が必要です。