透析療法とは
今回は学術的なブログになります(*´∀`*)
シリーズで慢性腎臓病CKDのお話しをしましたが、
CKDが進行するとご存じと思われますが、腎不全(尿毒症)になります。尿毒症になると生命維持の為に透析が必要となります。
透析と言う言葉は、お聞きなられた方も多いと思いますが、正式には透析療法と言います。
私の経験から透析療法について、少し書かせていただきます。
透析療法
腎臓機能が失われた人の生命維持と社会復帰を目的とした治療です。
種類としては 腹膜透析と血液透析があります。
透析のはじまり(歴史)
第二次世界大戦時にコルフ氏が初めてセロハン膜を用いて
20名ほどの患者の透析を施行したが
生存は3名であったという文献がありますが・・!
日本では
1964年
初めて東京大学病院・医科歯科大学病院・千葉大学病院・信楽園病院などによって、
日本で初めてドラム式の人工腎臓を用いて施行されたとのことです。
1966年
コイル型ディスポザーブルの人工腎臓がスエーデンで開発され日本で販売される。
透析効率も良くないので、6時間以上施行されていたとのことです。
1967年
健康保険適応となり保険請求が可能となりました。
当時の1回の透析費用が10万円前後。月としては100万円以上の治療費。現在は、一人月30万円前後の治療費になりました。
透析医療の調査
透析医学会では、毎年統計調査を年末に調査して翌年6月に公表されてます。
2016年末の日本全国の透析患者統計調査では
透析患者数 329,609人で33万になろうとしております。
年間導入患者数 39,344 死亡 31,790 増加数 7,554名
透析施設数 約4396施設
原疾患で多いのは 糖尿病です。
最長透析歴 47年6ヶ月!
その他、色々調査されております。
透析従事者
医師 看護師 臨床工学技士 栄養士 ケースワーカー 等専門職として活躍しております。
* あまり知られていない、臨床工学技士は平成元年に出来た比較的新しい 国家資格です。(私も第1期生)
役割は生命維持管理装置の点検操作を主として、現在では透析業務、手術室、救急室、心血管カテーテル、人工心肺、医療器機の開発、その他で活躍されております。
腹膜透析
お腹にチューブを入れる手術をして、その後
1日数回、薬液を入れて腹膜を介して分質の移動を行い透析するもので、患者さん、家族の方が教育を受けて、ご家庭で施行されております。
日本で約8千人の患者さんが施行されております。
血液透析
腎臓は24時間働いておりますが 血液透析は通常1回4時間、週3回、12時間の治療です。
現在は、透析装置、ダイアライザー等、色々開発されて性能は良くなっておりますが、腎臓にはかないませんので、その分水分制限・食事療法は必要になります。
血液透析はどうやってするの?
手首の動脈と静脈を結ぶ手術をします。
内シャント、現在ではバスキュラーアクセスなどと呼ばれております。
手術で血流が取れるようになった血管に透析毎に2本の針を刺します。
針の太さは血液流量によって14G~18G 2本使用
血液流量 1分間 200~300ml/分
4時間透析で48L~72Lの血液をろ過して綺麗にしております。
透析装置
透析装置は 日本では東レメディカル・ニプロ・ 日機装・JMS・旭化成などの会社が制作しております。
ダイアライザーなども同様のメーカーが製造しております。
透析機器(種類は色々)
ダイアライザー(半透膜を利用した中空糸)
面積 通常 1.0~2.5㎡
中空糸に入っている血液と半透膜を介して
透析液側に分質の移動を行って老廃物、水分を除去する機器です。
透析液
透析するには透析液が必要です。
電解質・重炭酸・ブドウ糖他が入った液が必要になります。
電解質が主な成分で現在では、体内に入れても問題ないほど綺麗な液を使用している施設がほとんどと思います。
透析液流量 500ml/min
透析の種類は
通常、血液透析は主ですが、合併症などによりマイルドな透析をするために、血液透析ろ過 血液ろ過などもあります。
近年、効率の良いとされている、オンラインHDFを施行する施設が多くなってきました。
透析で何が調整され、除去されるのか?
老廃物と言われている体内の代謝産物の除去、水分除去、電解質の調整、アシドーシスの改善 体液の調整、等いろいろあります。
現在は透析装置・透析機器(ダイアライザー)の性能も数十倍良くなっています。
透析方法もいろいろ工夫され患者様にあった透析が出来るようにまでなりました。
透析をしないとどうなるか?
腎臓の機能が失われているので当然尿が出ません。
それにより身体の老廃物、水分も排出されません。
電解質もバラバラになります。
肺水腫・高カリウム血漿・心不全などで死亡の原因になります。
以上、透析療法について簡単にお話ししましたが、まだまだ色々透析療法には必要なことが沢山あります。
そのたくさんの必要なことを透析従事者は、日々努力し研究し、良い治療を行っております。
患者様も良い治療を受けるため、患者様本人も透析治療に向き合って良い治療を受けて下さい。
今回、私の経験から慢性腎臓病CKD、透析療法のお話しを致しました。
以上をもちまして、終了いさせていただきます。
なお、ご不明な点、ご意見ご感想など書き込みして頂ければ幸いです。
平成30年4月
小池 洋明