腎臓病についてのお話し
今月は 第3弾として腎臓病(CKD)の検査についてお話ししたいと思います。
第1回では、腎臓は2つありますが、残念ながら片方だけ悪くなるのではなく、両腎臓一緒に悪くなります。
腎臓には濾過器糸球体という物があり、体のいらなくなった水分、物質(老廃物)等を捨てて、尿細管で必要な物質を再吸収する大事な腎臓をお話ししました。
第2回では、腎臓の役割には老廃物の除去、アシドーシスの改善、体液の調整、電解質の調整、血圧の調整、再吸収(必要水分・物質など)、尿の生成、ホルモンの分泌など色々とありますが、そのすべてを腎臓がしていますとお話しさせていただきました。
さて、慢性腎臓病(CKD)の検査ですが、主に尿検査(蛋白尿)と血液検査(尿素窒素、クレアチニン)で判断する事が多いですが、より詳しく検査するには微量アルブミン、クレアチニンクリアランス、糸球体濾過値(GFR)、腎生検などがあります。
GFRの検査は1日蓄尿で大変なので、最近では推算GFR(e-GFR)で確認することが多くなってきました。
e-GFRの分類表です。
専門医の先生によってはステージ1で尿蛋白0.5g/日以上出ていれば食事療法、塩分制限が必要とされる先生もおられるようです。
ステージによって症状は違いますが、一般的にステージ3までは、あまり自覚症状はなく、健康診断などで指摘され始めて腎臓病と診断されることが多いのも事実です。
ステージ4 合併症の有無、糖尿病腎症、患者様の状態で透析が導入されることもあります。
ステージ5なると 腎臓機能は失われ、透析療法を受けるか、腎臓移植しか生命を維持することは出来なくなります。
大事なことは、健康診断などで蛋白尿が出た場合は放置しないで、専門医への受診をおすすめ致します。
なぜならば、尿蛋白が出ているくらいだと苦痛な症状がないのです。人間は苦痛があれば病院に行きますが、無症状だとほとんどの場合は病院に行こうと思わないのです。
腎機能はステージ3であっても何らかの原因(体調不良・脱水・薬剤等)で一気に悪くなることがありますので、透析治療にならないためにも医師と相談して下さい。
慢性腎臓病(CKD)の治療はいかに進行を遅らせて腎機能を維持するかが重要になります。その為に定期的な受診、食事療法、規則正しい生活が必要と思います。
前にもお話しましたが、腎臓は長い年月をかけて壊れていきます。
昔、蛋白尿が出ているので、専門医の受診を勧められたな!
あの時、治療していたら・・・!
後悔することがないよう定期的な受診、食事療法をおすすめ致します。
次回1月は慢性腎臓病(CKD)になった時のリスクについて話ししたいと思います。
慢性腎臓病(CKD)は他の臓器より合併症の割合が多いようです。
今回で慢性腎臓病(CKD)のお話は3回目になります、1回目慢性腎臓病(CKD)2回目腎臓の働き。そして今回の腎臓病の検査ですが如何でしたでしょうか?
宜しければ、ご意見などお聴かせ戴ければ幸いです。
今年もあとわずかです。
来年も皆様方のご健康とご多幸をお祈り致します。
良いお年をお迎え下さい。
小池洋明