認知症とは、脳やからだの病気が原因で、もの忘れや判断力の低下などが起こる病気です。認知症には「アルツハイマー病」、「血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭葉変性症」の4つがあります。多くは「アルツハイマー病」と「血管性認知症」で70%以上を占めています。
国の発表によると、2025年には、認知症患者は約700万人前後、65歳以上の高齢者に対する割合は、現状の7人に1人から約5人に1人になるといわれています。そこで重要となってくるのは早期発見・早期治療により、いかに進行を遅らせられるかです。
症状
認知症の症状には、もの忘れなどの記憶障害、判断力の低下、見当識障害(いまがいつなのか、どこにいるのかがわからなくなる状態)などの必ずみられる中核症状と、妄想や幻覚、不安、徘徊などの必ずしもみられるとは限らない周辺症状があります。
人は歳をとると誰でももの忘れをしますが、加齢に伴うもの忘れと認知症のもの忘れは違います。
原因
血管性認知症は、脳の血管がつまる脳梗塞や、脳の血管が破れる脳出血、何らかの原因で脳全体の血流が低下する場合など、さまざまな原因で発症します。一方、アルツハイマー病は、原因ははっきりとはわかっていませんが、急激に脳の神経細胞が減り、脳が萎縮していきます。また頻度は多くはないですが(全認知症の5〜10%)、正常圧水頭症や慢性硬膜外血腫など治る可能性のある疾患も存在します。他にも、脳腫瘍や脳炎、薬物の副作用なども原因となります。
検査や治療
認知症の検査では、まず問診や種々のテストにより認知症の有無を確かめ、そこから血液や脳の検査によって原因を調べます。認知症と診断されても、ある程度進行してしまった記憶障害や判断力の低下を元に戻す特効薬がないのが現状です。現在残っている身体機能や精神機能をできる限り維持することを目的に薬物治療や介護やケア、心理療法などが行われます。
現在、アルツハイマー型認知症では、進行を遅らせる医薬品があるためこれらを用いることがあります。また、周辺症状に対しても薬で治療することがあります。一度進んでしまった症状を戻すことは大変困難なため、主治医とよく相談し認知症を早く見つけ、早いうちから治療する事が重要です。