糖尿病は、血液の中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続くことで、目、腎臓、神経、心臓、脳、皮膚などにさまざまな合併症が起こる病気です。
糖尿病になっても、最初のうちはほとんど無症状です。
しかし徐々に全身の血管や神経が傷ついていきます。のどの渇き、疲れ、頻尿などの症状が現れるようになるのは、病気がある程度進んでからです。
この病気はきちんと治療すれば、合併症を予防できます。とくに早くみつけて、早く治療を始めるほど、血糖のコントロールも合併症の予防もしっかりとできますので、健康診断で血糖が高いと言われた方や、心配な症状がある方は、早めに受診することをお勧めします。
原因
血糖値は、体の中の「インスリン」というホルモンの作用で、ほぼ一定の値に保たれています。この血糖を調節する仕組みがうまく働かなくなり、血糖値が高い状態が続くようになってしまうのが糖尿病です。
症状
血糖値が高くても、最初のうちは、ほとんど症状を感じることはありません。しかし、血糖の高い状態が続くと、のどの渇き、疲労感、多尿・頻尿などの症状が現れるようになり、次第に全身の血管や神経が傷ついて、全身のさまざまな臓器に影響が起こってきます。逆に、糖尿病になっても、食事療法や運動療法、薬によって血糖をきちんとコントロールできれば、症状をなくし、合併症を予防できます。
診断
糖尿病は、血糖値とHbA1cの値、症状を調べて、その結果から診断されます。
次の(1)~(4)のいずれかに当てはまる場合を「糖尿病型」といい、別の日に行った検査でも糖尿病型であることが再確認できれば「糖尿病」と診断されます。
- (1)空腹時に測定した血糖値(空腹時血糖値)が126mg/dL以上
- (2)ブドウ糖を飲んだ2時間後に測定した血糖値(ブドウ糖負荷試験2時間値)が200mg/dL以上
- (3)食事の時間に関係なく測定した血糖値(随時血糖値)が200mg/dL以上
- (4)HbA1c(NGSP)が6.5%以上[HbA1c(JDS)が6.1%以上]
治療
治療の基本は食事療法、運動療法にあります。
特に2型糖尿病には、食事や運動などの生活習慣が深く関係しています。食事療法と運動療法で血糖値が改善しない時や、血糖値が非常に高く、急いで下げる必要がある場合などに薬物療法が行われます。
1型糖尿病では、インスリンによる治療が最初から欠かせませんが、血糖値をより良くコントロールし、インスリンの量を減らしていくためにも、やはり食事療法、運動療法は基本の治療として続けていくことが大切です。
糖尿病を防ぐ適度な運動
運動は、肥満の防止になり、筋肉をつけて基礎代謝が活発なからだをつくります。運動を行えば、それだけ糖尿病の発症率が低くなることが知られています。
- 隣りの駅まで歩く、遠回りして歩く、階段を使うなど、日常生活に運動を取り入れる
- 歩く目安は、男性なら1日9200歩以上、女性なら1日8300歩以上
- 1日30分、少し早足で軽く汗ばむ程度が最適