研修医のころから地域医療の重要性を感じ、在宅診療に20年携わってきました。
東京女子医科大学病院などでの勤務医を経て2013年に独立開業してからは、東京・杉並の地域医療に尽力すべく、地域のイベントなどにも積極的に参加し、住民の皆さんとの交流を通して濃いつながりを結ぶことを大切にしています。
特に在宅診療では、患者さんだけではなくその介護にあたる方を含め、家族全体をサポートするという方針をとっています。介護疲れで家族の方まで倒れてしまったら往診が成り立たなくなってしまうためです。
しかし、当院は少人数のクリニックでもあり、在宅医療を専門としてやっているわけではないので、緊急時には電話での対応はできても、すぐに駆けつけるということがなかなか難しい。当院の考えやシステムをしっかりとご理解していただくことでミスマッチを防ぎ、また、住民の皆さんがどういった医療を望まれているかを知るためにも、地域との密接な関係性を作っておくことはとても大事であると考えています。
そうした考えから開業当初に私が掲げていた理念は「患者さんの想いを聴き応え超える」というものでした。
患者さんがイメージする以上に患者さんに寄り添った医療を提供することで、「ここに来れば安心」と思ってもらえるようなクリニックにしたかったのです。
しかし、次第にスタッフのキャパシティを上回るほどに患者数が増え、スタッフのほうが疲弊してしまうという事態に陥ってしまいました。
患者さんからそれほどに信頼をしていただけたのは本当にありがたかったのですが、まずはスタッフの安心や幸せをいちばんに守らなければ患者さんに応えることはできないのだということに気付き、この理念を「関わる人すべてに安心と幸せを届ける企業であり続ける」という理念に進化させました。
その根底には「健康であることだけが幸せではない」という思いがあります。
安心と幸せの解釈の仕方は人それぞれで、100人いたら100通りあるものです。
しかし、関わるすべての方々とWin-Winの関係を築くことができ、さらにその状態を継続させていくことができれば、より多くの人々に「安心」と「幸せ」を提供できるのではないか。
それを実現するためにはどうしたらいいかを常に考え、挑戦し、方向修正をしながら作り上げていく。
「クリニックのベンチャー企業」とうたっているのは、そういった経営ビジョンであることをスタッフ全員で共有し、クリニック全体で成長していきたいと考えているからです。